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コミュニケーションの耳袋

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2006年10月15日(日)

ダビンチコードより、伴大納言絵巻

国宝伴大納言絵巻を見る。
東京の出光美術館である。幸いなことに、上野ではない。
それ故、ゆっくりと時間をかけて楽しむことができた。感謝。
応天門の変という平安時代の史実に基づいたストーリー絵巻である。

主人公は、伴大納言こと伴善男という、出世欲のかたまり男。
ま、いつの時代もそこらで見かけるような人物だ。
左大臣源信を失脚させようと、放火の罪を着せる。
しめしめと、当初は目論見どおりことが運び、にやりの大納言。
しかし、子供の喧嘩をきっかけに、放火の目撃をしていた親がついに口を割る。
噂は風のように広がる。
恐い恐い。人の口に戸は立てられない。
結末は、大納言の放火が露見し、ついには遠国への流刑。
めでたし、めでたし。
別にどうという話でもない。
しかし、簡単に説明しただけでもこれくらいはかかる話。
これが、映像でも見ているかのように展開されているのである。
絵画で。
ここが絵巻物の尋常でないところ。
絵巻は左手で開きながら、同時に右手で閉めていくのが見方。
つまりはテレビ画面のようにある部分だけが開かれていて、変化していく。
アナログなスクリーン。
まずは、火事場に向かう検非違使、そして野次馬。
火事は一大イベントだったに違いない。
火元の近づくと、人々の顔は火の照り返しで赤くほてっている。
リアル。
また、風上には位の高い人たちが、物見遊山のように楽しげに見ている。
なかには、これ幸いと、女性の後ろにまわり痴漢行為をはたらいている不貞の輩も登場
数百人の人が、個性的に描かれている。
民衆はおかしみにあふれ、
高官はふっくらとした顔立ちで、贅沢な暮らしぶりが窺える。
役人天国は今に始まったことではない。
この絵巻の、シンジラレナーイは
数百人の群集ひとりひとりを、一切の下書きをせずに描いていること。
なんという筆の才。
それ故に、群集の動き、表情がリアルで楽しい。
ほんとうに、絵というより動画。
それがこの絵巻の圧倒的な描写力。
あのダビンチの400年前に描かれているのだから、あいた口が塞がらない。
この絵巻物そのものが、ミステリーの文学アンド絵画。
日本のアニメ、漫画好きはDNAだったのである。
動く絵画。
このほかに、鳥獣戯画、源氏物語、信貴山絵巻。
いずれも、必見。
しかし、伴大納言絵巻、見逃しては人生の後悔になる。
ぜひ、足を運ばれるように。

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