糸あやつり人形芝居
「平太郎化物日記」は愉快至極。
関西地区を拠点とする
糸あやつり人形集団ITOの痛快作だ。
オリジナルは、江戸時代の広島・三次藩での出来事。
稲生平太郎という16歳の武士が、
30日間、毎晩出現する化物と戦った史実から
きている。
「稲生物怪録」
平田篤胤が広めたといわれている。
しかし、おもしろい。
糸あやつり芝居だけに、ステージは小さい。
平太郎の部屋で繰り広げられる夜毎の怪奇は
その小ささを味方にしていて、
観客の身を乗り出させる。
下北沢のスズナリという小さな小屋が
それこそ化物屋敷に変化した。
大きな老婆の顔、一つ目、巨大はさみ
芋虫が蝶に変身、串刺しの3つの頭
飛び回る舌、360度ぐるぐる回る口、
人の頭割れてその中から小さな人間がぞくぞくと
マトゥーシュカ状態、
などなど、まさに変幻。
舞台の上から下から、横から
あっという間の30日間。
化物は水木しげるをはじめ、日本人には
なぜか親しみがある。
魑魅魍魎の世界は、人間への戒めでもある。
百鬼夜行にしろ、日本人は「恐い」という
感性を大事にしてきた。
だからこそ、化物を愛してきたのだ。
もし、それが失われたら
人間はただの傲慢動物になってしまう。
改めて、そう感じた。
あなたの家のどこかにも、物怪は必ずいる。
心せよ。

