京都・相国寺に百二十年ぶりに戻ってきた若冲動植綵絵。
釈迦三尊像を加えて、三十三幅。
初日の混雑は予想済みで、それでも欲望に勝てず拝観した。
正面に釈迦三尊像三幅、その脇と、両サイドに動植綵絵。
小さめの部屋は、若冲の麻薬がふりまかれていた。
現在は、宮内庁が所有しているので、少しずつしか見ることができない。
だから、こうして一同に介するチャンスは見逃せない。
混雑する人のため息を圧倒するほどの色彩。
真ん中に立つと、動植物の命に眩暈がしてくる。
一枚一枚は、図鑑という見方をすればそう見える。
しかし、図鑑とは決定的に違うのが、
あり得ない木の形、鶏の動き、共存する物の種類。
それらがある方向性をもって描かれている。
それ故、掛け軸の上方へ、下方へ飛び出していく。
一枚の絵を見ているというより、動画を見ている錯覚に陥る。
そこには、間違いなく生き物の世界が在る。
若冲がムービーカメラを持っていたら、どんな映像を納めたのだろうか、
という妄想までもが頭を掠める。
三十幅もあるので、それぞれの人によって好きな絵は違うだろう。
私はなんといっても、群鶏図。
その色彩の鮮やかさと、鶏の生態に目を背けることができなくなる。
十三羽の鶏の群れは、人間社会そのものだ。
会社にたとえると面白い。
たとえば、会議をしている図。たしかに、もめているし、それぞれが勝手だ。
中央下で、首を膨らませている鶏は社長?
みんなが言うことを聞かないので威圧している。
上方の鶏たちは、無関心。早く終わらないかなあ、という素振り。
それぞれの鶏たちの形と目つきが、完全に人間のものだ。
それだけで、勝手な妄想の世界へ引き込まれる。
そのほかにも、雪中鴛鴦図の雪の表現が濃い。
あなたはその図がお好きでしょうか?
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