
シェークスピアのリチャード3世をベースにした
野村萬斎の「国盗人」
圧巻のスピード!あっという間の3時間だった。
ご存知のように、シェークスピア劇は
饒舌なほど台詞があふれている。それを、いかにコンパクトにして見せるか、そこに萬斎の真骨頂があった。
狂言役者は狂言言葉、それ以外の役者は演劇言葉。
このふたつが混じりながらも、圧倒的なテンポが
観衆を舞台に釘付けにした。
舞台はもちろん、能舞台をベースに、5本の橋掛かり、
そこに6本に柱が立ち、きちんと能の空間を作っている。
しかし、そこは兵どもの夢のあと。焼け焦げている。
4役をめくるめくように演じる白石加代子が
能舞台という変化のないステージに想像力を加えていく。
そして醜い悪三郎こと、白薔薇家三男の萬斎が
びっこを引き引き悪態をつく。
「世の中のくだらぬ喜びを一切憎悪してやる」といって。
次々に邪魔者を殺して、国王にのし上る萬斎の表情は、
いつになく楽しげだ。
狂言独特の言葉の遊びや、仕草のおかしみがそうさせているのだろうか。
とにかく楽しい悲劇。
なかにはカラオケじみたキラキラした唄まで披露。
一気にシェークスピア劇が身近になる。
狂言という芝居の可能性を見たような芝居だった。
萬斎の行く道は、どんな未知だろうか?
とにかく、オヤジの追っかけ、してみるとしよう。

