中尊寺、白山神社での万作十八選から「木六駄」
野村万作の酔っ払い太郎冠者は見事、軽妙、その一言に尽きる。
1800年代に、伊達の殿様によって再建された
白山神社の能舞台。
屋根は瓦葺。平泉、中尊寺の奥にある珍しい舞台だ。
金色堂を見た後では、特にその風化した佇まいが背中をぞくっとさせる。
修復した金色堂は、藤原の栄華を強烈に印象付けるが、
この能舞台は、時の移ろいをそのままに残す。
万作の木六駄は、まさに時間を再現しているかのようだった。
雪深い道を、牛を引き連れて歩く様は
よろよろであり、寒々である。
やっとのことで見つけた茶屋で、自ら運んでいる酒を飲み干す。
茶屋の主は、息子の萬斎。
二人のやり取りが絶妙で、こちらの胃袋も酒で満たされるかのようだ。
狂言は、室町から江戸の話だが、
いつ見ても、新しい。時代の先頭を走りながら、
いまの時代の人たちを鼓舞しているようだ。
万作さんのおかげで、いろんなところで狂言にありつける。
都会のシアターで演じられるものとは、
なんだか違うような気がする。
なぜだろう?
森が、木々が、土が、川が、時間と繋がっているせいだろうか。
今夜もいい気持ちだ。

