野村万作×萬斎、
茂山千作×千三郎。
東西の人間国宝を父に持つ狂言師の舞台。
なんとも血の濃い時間でした。
舞台役者冥利の舞台なのかもしれません。
とくに、伝統芸能を継承する人たちにとっては
避けては通れないどころか、
受け継いでいく瞬間なのでしょう。
幼いころから、教えてきた息子が
回を重ねるごとに、自らに近づいてくる。
それは、喜びであると共に、自らの老いでもある。
なんとも深い2曲でした。
千作さんは、今年で90歳。息子の千三郎さんは45歳。
曲は、「鬼瓦」。
長らく在京していた大名が帰国にあたって
信仰する因幡薬師にお参り。
そこで見た、鬼瓦が国の妻に似ているといって
オイオイ泣きだす場面。
太郎冠者の千三郎さんも、同調する。
おバカな大名と、つき従う太郎冠者の心の動きが
なんともあったかいお芝居です。
ああ、親子だ。そう感じて、こっちも泣けてきました。
次の「隠狸「では、いつもと違って
主人が萬斎さん43歳。太郎冠者が万作さん78歳。
主人に内緒で、狸を取っている太郎冠者を懲らしめようと
市場で酒盛りを始めるふたり。
なんとか、腰につけた狸をとろうとする主人。
隠そうとする太郎冠者。
父が使用人役なのに、追い詰める萬斎さん。
ひょうきんな表情でするりと抜ける万作さん。
逆転しているのが、妙な感じがしていましたが、
最後は、憎めない太郎冠者として会場の心を
捕まえてしまいました。
すごいですね、人間国宝。
そして、なんともうらやましい親子関係。
親子は同じ職業というのも
なんだか自然なような気がしてきました。
それゆけ、親子。がんばれ、親子。

