東大安田講堂で開かれた
「第3回INSLA講演会」
免疫学者の多田富雄さんの主催によるもの。
団塊世代としては
安田講堂に足を踏み入れるのは不思議な感覚。

昨日は滅茶苦茶気持ちのいい日でしたね。
温かく、さわやかな空気。
こんな日に、安田講堂に入るなんて。
INSLAとは、
現代の直面する問題を
広く遠い目で取り上げるをテーマに
自然科学とリベラルアーツを統合する会らしい。
養老孟司さんや松岡正剛さんなど
たくさんの著名人が参加している。

今回は食の危機を、農業の観点から見るもの。
イントロは、
野村万作さんの「三番叟」。
能の中でも特別だといわれる「翁」から
狂言方が舞う三番叟は、五穀豊穣の演目。
キリリとした万作さんの舞いと踏みならす音は
芸能の起源を彷彿させる。
相も変わらず、ピンとした空気が流れました。
死ぬまでに舞ってみたいけど、ま、無理でしょうね。
そこから、
農の問題を、経済学的に、バイオアグリ的に
そして農民の立場から、
数人の方が熱く語られました。
印象に残ったのは、
無化学飼料をつくっている松本さんのお話。
その農法を伝えようと、松本塾なるものを主催して
全国に広めているそうです。
松本さんはもちろん話すことが商売ではありません。
でも、かえってちょっと訛りのある話し方が
人の心をつかんでいるように思えました。
学者より、職人のほうが熱いし、その思いがはるかに強い。
コミュニケーションとは、
上手に話すことより、心を動かすこと。
改めて確信しました。
松本さんは、自分の飼料を試すため
自分で野菜畑をつくっている。
その畑には鳥がたくさんやってくるそうです。
隣の畑には一匹も行かないのに。
鳥は、自然でおいしいものを知っているのですね。
それから気になったのは、「種」。
なんとなく知ってはいましたが、ここまでとは。
いわゆる、遺伝子組み換えの種。
トウモロコシでは全体の85%、
大豆は91%にものぼる。
虫がつかないために、
形のそろったものをつくるために
長生きするために。
極端なことを言えば、
長寿のゴキブリの遺伝子を組み込むこともある?
恐ろしい!
そうしなければ、食がなくなる?
一体何のために、つくっているのか?
考えれば考えるほど、矛盾です。
もう一つ思ったのは、
農業はたくさんのひとが憂えているけれど、
漁業は?林業は?
考えることは山ほどある。
憂鬱な気分で安田講堂を出ましたが、
救いは、東大構内のすばらしさ。
ああ、ここで勉強したかったなあ、と。
新入生諸君、一生懸命勉強してね。


